Openlaw日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-06-07サイト紹介

順序が逆になりましたが、議論の前に本家「Openlaw」と当サイト「オープンロー@hatena」について紹介します.

Openlawのモデル Openlawのモデル - Openlaw日誌 を含むブックマーク

本家Openlawのモデルについて簡単に説明します.Openlawのモデルは,進行中の法廷資料の公開と,オンラインの討議の場の提供との両輪でなりたっています.たとえば2001年のGolan 対 Ashcroft 裁判のページでは,原告と被告の上告と回答書がPDFファイルとHTMLファイルで順を追って公開されます.そして冒頭には最新情報が,末尾には過去のニュースが表示されます.そしてサイドメニューから「Discussion」を選ぶと,オンラインで討論を行なうページに移ります.そこでは登録したメンバーが書き込むことができますが,登録しないメンバーでも議事録を読むことができます.(ただし,審理が終了したので現在では討論のページは閉じられています.)

その後,OpenlawプロジェクトはWikiのようないろいろなツールの組合せを試し,新しいツールの使い方を実験しています.Openlawが他の同様の試みにくらべてすぐれているのは,その議論の善し悪しよりもむしろこのツールへの意識だと思います.我々もそれにならって,新しいツールとしてはてなグループを試しているところです(これには ised@glocom powered by hatena という先行例から影響を受けています.)

ised@glocom powered by hatena

Openlawの背景と特色 Openlawの背景と特色 - Openlaw日誌 を含むブックマーク

Openlawプロジェクトをはじめた法学者 ローレンス・レッシグ については,翻訳も出ているのでご存知の方も多いと思います.レッシグはインタビューでOpenlawについて「オープンソースソフトウェア開発の手法を法文書作成に取り入れる」と言ってますが,この発想は法学者の中から出たものではなく,技術者との交流--具体的にはMIT(マサチューセッツ工科大学)との共同プロジェクトが背景にあるように思えます.

レッシグはハーバード大学に在籍したときにMITとの共同講義に参加しています.これはハーバード大学ロースクールの学生とMITでコンピュータサイエンスやSTS(科学論)を履修する学生とが同じコースを履修し,教室もMITとハーバード大学で交互に行なわれるというものです.共同講義の統括者であるMITのAbelson教授のところで教材や歴代の優秀レポートが公開されています.たとえば1998年の期末発表会のプログラムを見ると,学生レポートの質も高いし,ゲストコメンテーターも豪華.ここで発表した学生の名前が「CODE」isbn:4881359932の謝辞にも登場していますが,レッシグがその次の著書「コモンズisbn:4798102040UNIXシェイクスピア作品にたとえたりするのは,MITハッカー的な感性に影響されているように思います.(ちなみにその後Abelson教授はMITの教材を公開するOpenCourseWareを立ち上げて,その共同講座の教材も公開されてます.私が見てきたようなことを言えるのも,こうした過去の記録がオンラインで入手できるためです.)ロースクールのアカデミックな討論にオープンソース開発者コミュニティの手法や新しいツールをとりいれ,意見をまとめようというOpenlawのアイデアが出てきたのはこうした越境的な環境の産物でしょう.

Openlawプロジェクトが最初にとりあげるケースとしてレッシグが選んだのはエルドレッド裁判でした。この裁判についてはレッシグの近作「Free Cultureisbn:4798106801に詳しく書かれています.その「Free Culture」の注釈には Openlaw のURLががんがん含まれており,またレッシグはインタビューでも「Openlawをチェックしてくれ」とくりかえし言及しています.Openlawプロジェクトに寄せられた情報を一番活用しているのはレッシグ教授自身だと言えるでしょう(^^).その次は,Openlawプロジェクトをまとめた意見書を裁判所に提出したハーバード大学ロースクールのスタッフか.日本のロースクールでも、こうした活動を正式なミッションとして位置づける枠組ができることを期待しています.

なお,レッシグがスタンフォード大学に移籍した後,Openlawプロジェクトは上記の1998年組の学生の一人で、その後ハーバード大学ロースクールの研究機関であるバークマンセンターのフェローになったWendy Seltzerらが引き継いでいます.

CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー コモンズ Free Culture

自己紹介 自己紹介 - Openlaw日誌 を含むブックマーク

当サイトはCPSR日本支部の山根が運営責任者をつとめます.コンピュータセキュリティやリスクマネジメントを専門としており,議論をまとめあげるよりもむしろ専門家と非専門家との意見交換を促進したいと考えています.

JCA-NETさんにはOpenlawの両輪の半分を担っていただいています.つまり,法廷資料を入手し,手順にしたがってデジタル化し,その大きなファイルを公開するためのサーバの提供です.

また,私の方で資料公開にセキュリティ上の影響がないかどうかもチェックしています.情報公開が原則なのですが,特に住基ネットについて語る場合,セキュリティ対策を実行に移せない各地の地方自治体が攻撃を受ける可能性も考慮しなければなりません.(私も以前の職場で公的助成を受けて地方自治体のセキュリティ調査と予想される攻撃に対する改善案を提案したことがありますが,その手法は外部には発表せず,概略のみ報告した経験があります.) こうした影響を考慮した上で,それでも可能な限り実証的に議論することを目指したい.

はてなキーワード作成 はてなキーワード作成 - Openlaw日誌 を含むブックマーク

はてなキーワードCPSR」を更新して、CPSRについて言及のある本のAmazonへのリンクを増強しました。Amazonのデータベース検索にひっかからないComputers in Battleの邦訳のかわりに英語原著をリンク。はてな市民はてなグループメンバーの方は、こうしたはてなキーワードの作成を通じてプロジェクトに参加することも可能です。

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